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扶養義務者間における教育費の課税関係

  相続税法21条の3第1項第2号は、扶養義務者相互間における生活費や教育費に充てるための贈与財産のうち通常必要なものは、これを非課税としています。この「扶養義務者」の意義については、民法の規定によりますと次のとおりです。
 すなわち、民法877条は、直系血族及び兄弟姉妹については、これらの各グループ相互間における扶養義務を定めています(877条1項)。また、配偶者間では同居・相互扶助すべきこととされていて(752条)、当然扶養義務があります。
 このほか、家庭裁判所は、特別の事情があるときは、審判により三親等内親族間においても扶養義務を負わせることができるとされています(887条2項)。
 また、相続税法1条の2では、配偶者及び民法第877条(扶養義務者)に規定する親族をいうものと規定されています。
 そうすると、直系血族の場合の「扶養義務者相互間」とは、贈与の当事者が相互に直系血族であればこれに該当することに帰し、贈与の当事者である贈与者及び受贈者の組合せを父母と子を第一順位とし、祖父母と孫を第二順位とするなどの解釈は出てきません。
 民法878条は、扶養義務者が数人いる場合の扶養をすべき者の順序について当事者の協議によるべきとし、これが調わないときは家庭裁判所の審判で定めることにしていますが、贈与税の非課税規定では、贈与の当事者について扶養義務者相互間と定めるのみで、例えば、直系血族間では親等の近い者が優先するなどの規定はありません。
 父の子に対する扶養義務の履行が祖父の孫に対するそれに優先することにはならず、祖父が孫に対してした教育費のための贈与もこの非課税規定の対象となります。
 そして、この入学金が多額であっても、これが入学手続上必要なものであれば問題がなく、また、本件のAに対する扶養義務者が乙であることがあらかじめ確定していない限り、受贈者Aが祖父の甲から受けた贈与が、第一次的な扶養義務者としての乙に対してなされた贈与であるとまでは認定することはできないでしょう。

(以上、TKC税務Q&A46005074より)

教育資金贈与の非課税

 25年度の税制改正の目玉として、子・孫への教育資金としての1500万円までの贈与を非課税とする措置がとられました。

 この規定は文字通り子供や孫の入学金、授業料、あるいは塾代などの教育資金を扶養義務者の親、祖父母が信託銀行等に信託した場合、1500万円までの贈与は非課税とされます。制度の概要は次のとおりです。

①信託銀行に教育資金の信託契約をする。

②贈与を受ける子・孫が教育資金を教育機関に納める。

③上記②の受領証等を信託銀行に提示する。

④信託銀行は教育資金として納付された事実を確認した上で、信託口座から子・孫へ当該金額を支払う。

⑤贈与を受けた子・孫が30歳になった時点で未消化の贈与資金があった時は、その残額には通常の贈与税が課税される。

⑥信託銀行は教育資金等の支払いの事実を税務署に報告する。

 

ざっと、こんな感じです。

しかし、現行の相続税法21条の3第2項では、次のように規定しています。

 “ 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの”

 つまり、扶養義務者である親、祖父母が子・孫の通常の教育費を贈与した場合、贈与税はかかりませんということです。

 

そうすると今回の改正のものと現行の非課税規定との違いは何か?

①相続対策として時間的余裕がない場合には今回の改正が有利です。

なぜなら、信託財産として一般の相続財産と分離されますから相続財産にはなりません。